現在ELI-NPのメンバーは120人に達し、僕がルーマニアに来たときに比べるとにぎやかになりましたが、2018年末の施設完成に至るまでにELI-NPは更なるメンバーを募集しております。
以下に、日本人向けに公募のFAQを書いてみようと思います。
年度によって少しずつ公募書類を改良しているようなので、念のために応募時点の書類を熟読なさることをお勧めします。
Thank you for opening this page !!
Now we, ELI-NP is seeking the candidates of our new members as researchers, engineers and technicians.
If you are interested in these positions, please check the following link:
以下は、僕が通過してきた・感じた話題を
「 個 人 的 に 」
書いているので、今現在のELI-NPの公式のセレクションルールだと思わずに、公式ページで確認のうえご応募ください。聞くところによると少しずつ応募方法が進化しているそうです。
A:
ELI-NP (Extreme Light Infrastructue - Nuclear Physics)
は、ルーマニアの首都ブカレストの南のはずれにあるマグレレ (Magurele) という田舎町にある国立研究所
Horia Hulubei National Institute for R&D in Physics and Nuclear Engineering (IFIN-HH)
の一部門として2013年から活動をはじめた新規の研究施設です。
http://www.eli-np.ro/index.php
IFIN-HHは核物理研究を生業としており、そこにおける光を用いた核物理部門だと理解していただければ大体正しいと思います。
具体的には世界最高強度を誇る10PW レーザーを2基、最大720MeV の電子線LINAC による最大20MeVの高輝度ガンマ線源を有しております。
現在は建物も含めて2018年の末の施設完成に向けて活動をしています。
A:
だいたいこのページにあるとおりです。
http://www.eli-np.ro/research-activities.php
巨大なレーザーは多数の光子を集光して一点に集めて高密度にすることができます。
このような超多粒子系はこれまで基礎物理としてあまり興味を持たれることはありませんでしたが、これを利用すればさまざまな非線形挙動が見れるものだと期待されており、たとえばQED真空のちらつき (複屈折) などまでもが実測できるのではないかと期待されております。
ざっくりとグループを解説すると、
Research Activity 1: High-Power Laser System
10PWレーザーを用意するグループ
Research Activity 2: High-Brilliance Gamma Beam
ガンマ線用LINACを用意するグループ
Research Activity 3: Nuclear Physics with High-Power Lasers
10PWレーザーを用いた核物理実験・プラズマ実験をするグループでいわゆるレーザー加速と言う分野はここで実験予定
Research Activity 4: Nuclear Physics and Applications with high-brilliance gamma-beams
LINACからのガンマ線を用いて出来る伝統的な核物理実験をやるグループ
Research activity 5: Fundamental Physics with combined laser and gamma beams
10PWレーザーとLINACガンマ線を混ぜた実験が出来るグループで、核物理といわゆる非線形QED
の実験を行う
僕は最後のResearch Activity 5 の住人です。
A:
外務省が押してくれるハンコです。
このハンコがあると日本の国で書かれた書類であることをを国が証明したことになり、フォーマルな扱いになるそうです。
おそらく日本人の応募者がセレクション通過後に一番苦しむのがこの問題だと思います。
日本人にはほとんどなじみの無いシステムだと思います。
恥ずかしながら僕は自分が要求されるまでこのアポスティーユを知りませんでした。
書類送付 → 面接 → 合格通知
の後に要求されることとして、お持ちの博士学位をルーマニアで読み替える作業 (PhD recognition) する作業が要求されます。
これはルーマニアの文科省が実施するため、提出書類はすべてフォーマルなスタイルにする必要があるようです。
ほとんどの候補者は日本の大学で学位を取っていると思いますが、日本の大学から発行される書類はそのままでは通常は私文書扱いだそうで(それも学位記はそのものを提出するのではなくコピーを提出しますので)、それを受理させるためにとらねばならないのがアポスティーユというハンコです。
これは日本でかかれた書類であることを外務省が証明してくれるもので、これが書類にあってはじめてルーマニア側の処理が進められるようです。
余談ですが、学位の認証なので学位記のコピーを提出する必要がありますが、日本語のみしか使っていない学位記という場合もあると思います。
書類にはライセンスを持った翻訳家に訳してもらえ、と言う一言がありますが、実は日本にはそういうシステムはないそうです。
ですので自分で翻訳するか、あるいはどこでもいいので翻訳の会社に頼んで用意しましょう。
翻訳者のサインがどこかに、後に出てくる公証のハンコがそれをサポートしていると認識してもらえるようです。
手順としてはお近くの公証役場で、まず提出したい書類に公証と言うハンコを貰います。
これは有償で、おそらく最低でも1万円くらいはかかると思います。
というのはPhD recognitionには修士号までの認証と博士号の認証と2つ分の書類を別々に作らねばなりません。
それぞれ各種書類をホッチキスで閉じて2冊にして公証をそれぞれにつけてもらう方法が一番お安い方法です。(2015年時の情報、要確認)
ちなみに僕はPhD recognitionの出し方が何度HRに聞いてもよく分からず3回は公証を取りに行きました。
そのあとに、公証が本物であることを証明するハンコ(公証確認)を地方法務局で頂戴する必要があります。
これに関しては無料でしてもらえるはずです。
ここまで進んで初めて公証確認を証明するハンコ、つまりアポスティーユをつけてもらうことができます。
無事、ハンコがもらえたら提出可能な状態です。
お疲れ様でした!
あとはELI-NPの人事部からの連絡を待つだけです。